ケガや故障の原因はシューズからも検証できることがあります。
陸上部所属の悩める中学1年の女の子がお母様とご来店。
この時期も、故障するアスリートが出てきます。
特に中学~高校の場合、学年がひとつでも違えば骨格、筋力に大きな差が出ます。
しかし練習メニューは「どの学年でも同じ」という場合が多く見られ、ケガ・故障する方が後を絶ちません。
以下、シューズコンサル内容の一部です。
「陸上部で短距離を選択。毎日練習しているが、アキレス腱と拇趾球辺りの痛み、腰痛が酷い。
小学生の頃も走るとアキレス腱に痛みがあった。
整形外科(スポーツ外来)に診てもらったが「偏平足で外反母趾」と診断されただけでレントゲンも問題なし。
痛みの原因は特にわからず、『とりあえず様子見』とのこと。
先日シューズ売り場にて計測器のようなもので足を見てもらったが扁平足、外反拇趾ではないとのこと。
練習用シューズにと、ワイドサイズのシューズとカスタムインソール(高価)を勧められ購入。」
・・・うーん。病院も診てくれたようですが痛みの原因とその対策までは教えてくれなかったみたいですね。
そしてシューズ売り場の残念な対応。特に成長期の方にワイドサイズのシューズを勧めてはいけません。
当店でも計測しましたがこの方はワイドどころかスリムサイズでした。
店側のスタッフがインソールを入れるためのスペースを確保するためにサイズアップしたとしたら問題です。
シューズと高価なインソールを売りつける、単なる金儲けの対象としか見ていないのでしょう。
そんな店はお客さんの身体のことなど考えていません。
さて、お客様のシューズの状態を拝見です。
インソールに付いた足趾の跡から、腰周りの強い筋緊張が想像できました。特に右足の接地時の「振り込み」が
強いようで、拇趾球辺りに強い荷重がかかっていました。
そして、シューズの変形。右足の内側に強い倒れこみが見られました。シューズサイズ(幅)が大き過ぎて、
足が全くホールドされていない状態です。これでは着地~蹴り出しが安定せず、余計な力が必要となって
しまいます。
左足のシューズの状態は右足のものほどひどい崩れはありませんでした。逆に言えば左足が上手く機能しておらず左右差が大きい証拠です。このままではまた故障を呼びます。が、改善すればここは「伸びしろ」です。
これらの所見から痛みの原因として考えられるのは「シューズサイズが合っていない!」この一言に尽きます。
シューズの状態を見ただけでも彼女の足や腰が辛い状態であることは容易に想像できました。
このお客様には、足のサイズに合ったシューズを購入することを強くお勧めし、併せてシューズの履き方と
簡単なトレーニング、ストレッチなどをご提案しました。
サイズの合っていないシューズにどんな高性能インソールを入れたとしても、パフォーマンスは上がりません。
それどころか、ケガ・故障の負のループから抜けられなくなります。
強い出力を持つ筋肉を効率よく使うためには、それを支える姿勢がしっかりしていなければいけません。
それが足元のシューズ、スポーツ用インソールであり、そして効率の良い走りのフォームです。
これらを整えてから、必要に応じて筋トレなどのトレーニングをするのがおススメ。
でなければ、記録を出す前に身体を壊してしまうかもしれません。
レーシングカーだって、エンジンだけ凄くてもダメなんですから。
そのパワーを支えるシャーシ(車体)、足回りが必要で大切なんです。人間も同じです。